伝統

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西ノ内和紙

【県北】

昔ながらの手すきで和紙を作る=常陸大宮市山方
昔ながらの手すきで和紙を作る=常陸大宮市山方

 国の選択無形文化財に指定される常陸大宮市の伝統的な和紙。奥久慈で栽培されるコウゾを原料に、美濃の国から伝わった「流しすき」で作られる紙質は、目が細かく破れにくいのが特徴だ。

 水にぬれても文字がにじまず、虫害にも強いため、保存に適している。このため、江戸時代には水戸藩の専売品として、商家の帳簿である大福帳に用いられ、徳川光圀が編さんした「大日本史」にも使用されている。

 明治時代に入り、西洋紙が導入され、和紙の需要が減少する中、衆院選挙で選挙人名簿や投票用紙に指定。大正時代末期まで使われた。太平洋戦争では風船爆弾用の紙にもなった。

 現在でも「紙すき」が行われ、誰でも体験可能で、持ち帰ることができる。自分だけのオリジナル作品は最高の思い出の品になっている。同市舟生の国道118号沿いに、資料館を兼ねた販売所「紙のさと」がある。ストラップや箸置き、小物入れなどが販売され、土産として人気がある。


◆主な意見
・県北山間部に、傾斜地や作物栽培不適地、それに土地の境界地などに楮(こうぞ)(和紙の主原料)が植えられ、秋から冬に刈り取り皮をむき販売する農家が多かった。水戸藩内においても西の内紙は貴重な財源。貧しかった農家は現金収入を得られた。
・水質の良さに良質の楮は茨城県の環境の良さが生んだ産物であり、高い漉き技術の伝承は何としても孫子の代まで末長く残したい。

【LINK】
常陸大宮市観光協会