芸術・文化

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滝平二郎と切り絵作品

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小美玉市生涯学習センター(旧玉里村総合文化センター)の緞帳(どんちょう)に描かれた滝平二郎の「筑波夕照」
小美玉市生涯学習センター(旧玉里村総合文化センター)の緞帳(どんちょう)に描かれた滝平二郎の「筑波夕照」

 版画家・切り絵作家の滝平二郎は1921年、旧玉里村(現小美玉市)の農家に生まれた。農民のリアルな日常を描いた初期の木版画から、牧歌的で詩情あふれる晩年の切り絵まで、四季折々の昔懐かしい農村風景を表現した。

 石岡農学校(現石岡一高)卒。太平洋戦争で沖縄戦に従軍し、復員後に木版画家となった。戦後の疲弊した状況の下、何とか生き抜こうとする人間の力強い息吹が作品ににじみ出た。60年代後半、朝日新聞で切り絵を連載。温かな色彩で詩情豊かに描き、幅広い層に支持された。

 児童文学者の故斎藤隆介と共に「花さき山」「モチモチの木」など、教科書でもおなじみの名作を残した。第1回講談社出版文化賞、モービル児童文化賞、第10回絵本にっぽん賞などを受賞している。

 2009年、88歳の生涯を閉じた。筑波山や霞ケ浦をはじめ、遊びや季節の行事など、滝平が抱き続けた故郷・茨城の風景への郷愁と慈愛。作品として永遠に刻まれている。


◆主な意見
・心に残る懐かしいふるさとの情景や暮らし、子供の遊びなどを、明るい色彩とあたたかな視点で描いて、大きな反響と共感をよんだ。

【LINK】
茨城県近代美術館